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第一原理計算により酸化ジルコニウムと窒化ケイ素の相変態機構を解明


 財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)は、第一原理計算により代表的な機能性セラミックス材料である酸化ジルコニウムと窒化ケイ素の相変態現象の解明に成功しました。

 固体物質には、温度や圧力の条件によって固体という状態を維持したまま結晶構造が変化する「固相-固相変態」と呼ばれる状態変化を示すものがあります。この相変態による構造の変化の前後で、材料の有する物性が急激に変化することも珍しくありません。実用材料では相変態挙動を正しく制御することが必要不可欠であり、そのメカニズムを理解することは材料設計において非常に重要であります。近年、この相変態現象を解析するための研究手段として、「第一原理計算」と呼ばれる理論計算手法が注目を集めています。第一原理計算は、量子力学の理論にのみ基づいて、物質の持つエネルギーや安定構造を原子・電子レベルで計算することが可能です。経験的なパラメーターを用いないので、物理現象の本質を解明するのに大変有効な手段の一つであります。今回、JFCCは第一原理計算によるフォノン(量子化された振動)の計算を通じて、機能性セラミックスの相安定性を定量的に評価することに成功しました。計算の対象としたのは、酸化ジルコニウムと窒化ケイ素という材料です。

 酸化ジルコニウム(ZrO2)は、室温では単斜晶構造を有し、温度が上昇することで正方晶構造へと相変態します。ある種の添加元素が酸化ジルコニウムに加えられることで、本来高温でしか存在しない正方晶構造が室温でも安定に存在することが可能となります。この正方晶安定化状態において高強度・高靱性という優れた機械特性を示します。今回、第一原理計算を用いて正方晶、単斜晶の2つの構造のフォノンを計算し、自由エネルギーの比較を行った結果、相変態温度が約1080 ℃であることが分かりました。実験で測定されている相変態温度は900〜1200℃であり、経験的なパラメーターを使うことなく酸化ジルコニウムの正方晶−単斜晶相変態温度を定量的に決定した初めての研究です。また、昇温による正方晶の安定化は振動のエントロピーの影響であることも解明されました。

 窒化ケイ素は耐摩耗性、耐熱性に優れる材料としてベアリング軸受け等に利用されるセラミックス材料です。この材料は大気圧下でα相とβ相という二つの結晶構造を持つのですが、どちらの結晶構造が最安定相なのか現在まで決定されていませんでした。α相とβ相のフォノンと自由エネルギーの計算結果、絶対零度から2000℃までの広い温度域でβ相が最も安定な結晶構造であることを確認し、世界で初めて窒化ケイ素の安定相を定量的に決定しました。

本研究成果は、7月8日(名古屋:名古屋国際会議場)及び7月16日(東京:東京大学「武田ホール」)開催のJFCC2009年度研究成果発表会にて報告いたしました。


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