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次世代超高密度磁気記録材料中のナノ磁性現象を直接観察することに初めて成功
―磁気記録密度:50テラビット/平方インチの実現に向けて―


 財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)は、次世代超高密度磁気記録材料として期待されている磁性ナノ粒子自己組織化膜中の磁区構造を世界で初めて観察することに成功しました。

 次世代の超高密度磁気記録材料の候補として、ナノメートル(1ナノメートル=百万分の1ミリメートル)スケールの磁性粒子を規則正しく自己配列させた膜が考えられています(図1参照)。たとえば、それぞれの粒子に1ビットの情報を記録できたとしますと、ハードディスクの記録密度が現在の100倍(50テラビット/平方インチ)に向上することになり、ハイビジョンの高画質動画が年単位でレコーダーに記録できるようになります。しかし、磁性ナノ粒子を自己配列させた膜には、「超強磁性」と呼ばれる特異なナノ磁性現象が現れ、その現象が高密度記録を阻害すると懸念されていました。これまで、この現象が作る磁区構造は、実際に観察されたことがなく、その振る舞いは謎とされてきました。今回、JFCCは、磁場を観察できる電子線ホログラフィー技術を用いて、上記のナノ磁性現象を直接的に観察し、その特徴を明らかにすることに成功しました。この観察結果および発見は、次世代超高密度磁気記録材料の開発につながる大きなブレークスルーと言えるものです。

 観察に用いた試料は、直径8ナノメートルのコバルト(Co)粒子を規則的に配列させた膜です。これらのナノ粒子は、コバルトカルボニル化合物(Co2(CO)8)を含む液体を熱処理することによって作製されます。その後、粒子を含んだ混濁液を水面上に滴下することにより、粒子が自動的に規則配列して膜を作ります。図1は、その膜をすくった試料の透過型電子顕微鏡像です。
 磁性ナノ粒子膜の切れ端付近(約6ミクロン長)の領域を、電子線ホログラフィーで観察しました。図2(a) - (c)に、その部分の高倍率電子顕微鏡像、低倍率像、電子線ホログラフィー像を示します。図2(c)の矢印は、磁化の向きを示しており、白黒の線は磁力線に相当します。ミクロンオーダーの非常に大きな渦状磁区構造が形成されていることがわかります。この渦状の磁区によって、全体の磁気的エネルギーを下げていると考えられます。また、各粒子の磁化ベクトルは、図2(c)下の模式図に示したように、場所によってベクトルの向きがふらついたり、100%同じ方向を揃ったりしていることが明らかになりました。
 このナノスケールでの特異な現象が観察されたことにより、記録密度を向上させるための研究開発(たとえば、粒子サイズの変更、粒子間距離の変更、粒子材料の変更)が進展し、超高密度磁気記録材料の実現に大きく寄与するものと期待されます。

図1. コバルト磁性ナノ粒子自己組織化膜の透過型電子顕微鏡像


図2.  (a) コバルト磁性ナノ粒子膜の高倍率像
(b) 低倍率像
(c) 電子線ホログラフィーによって観察された磁場像と各粒子の磁化ベクトルの模式図


本研究成果は、7月8日(名古屋:名古屋国際会議場)及び7月16日(東京:東京大学「武田ホール」)開催のJFCC2009年度研究成果発表会にて報告いたしました。


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