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走査透過電子顕微鏡によるLi原子等軽元素の直接観察


< 概要 >
 走査透過電子顕微鏡を用いた新しい観察手法によって、リチウムイオン二次電池電極内のリチウム原子等の軽元素の直接観察に世界で初めて成功しました。この手法によって、原子レベルでの解明が飛躍的に進み、機能性材料の特性のさらなる向上が期待されます。



 携帯電話や電気自動車に代表されるような工業製品には機能性材料(様々なセンサー、モーター、電池の電極など)が数多く使われています。日本の技術力の優位性を保つためにもこれら機能性材料の高性能化(省スペース、省電力、軽量、高出力化など)が急務となっています。そのためには、原子レベルでの解明が必須です。機能性材料の多くは2種類以上の元素の化合物から構成されており、機能発現の解明のためにはそれぞれの元素を明確に区別して解析することが必要となります。透過型電子顕微鏡はこのような研究分野で最も多く使われているツールですが、原子番号が大きく違う元素で構成された材料では、それぞれの元素を区別して同時に観察することが難しいという問題がありました。例えば、リチウムイオン二次電池の電極に使われているリチウムコバルタイトは、リチウム(原子番号3)、酸素(原子番号8)、コバルト(原子番号27)から構成されており、これらを同時に直接観察することができていませんでした。

 (財)ファインセラミックスセンター、東京大学、日本電子株式会社によって開発された角度分解環状明視野法を用いることによって、この問題を克服し、軽元素(リチウム、酸素、窒素など)を直接観察することが、世界で初めて可能となりました。基本となった技術は、薄く加工した試料にきわめて細く絞った電子ビームを走査しながら照射し、試料中の原子によって散乱した電子を検出することで顕微鏡像を得る手法(走査透過電子顕微鏡法)です。この基本技術に、散乱した電子の検出のための角度を最適化するなど、さらに工夫を加えることによって、軽元素の直接観察が可能となりました。これにより、機能の発現メカニズムの解明がさらに進み、材料の高性能化に寄与すると考えられます。

 今回この手法を用いて軽元素を直接観察した例を2つ紹介いたします。

 図1は、現在、最も性能の高いといわれているリチウムイオン二次電池の正極、リチウムコバルタイトでの観察結果です。なお、この図は、トヨタ自動車株式会社、東京大学および東北大学との共同研究成果の一部です。リチウムコバルタイトの原子構造を図内に示していますが、赤丸が酸素原子、青丸がコバルト原子、黄丸がリチウム原子です。新しい手法による顕微鏡像には、リチウム原子の位置に明瞭にコントラストがあることがわかります。

 また、図2は代表的なセラミックス材料である窒化ケイ素での観察結果です。窒素原子(原子番号7)とケイ素原子(原子番号14)がきわめて近傍に存在しているにもかかわらず、明瞭に区別することができています。


図1. Liイオン二次電池正極(LiCoO2)の原子構造モデルと顕微鏡像


図2. 窒化ケイ素(Si3N4)の原子構造の原子構造モデルと顕微鏡像


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