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位置分解電子エネルギー損失分光法を用いて、次世代全固体電池内部のLi分布の可視化に成功
〜安全性の高い全固体リチウムイオン電池の実用化に繋がる画期的成果〜



 本研究成果は、7月5日(名古屋:愛知県産業労働センター「ウィンクあいち」)、7月12日(東京:東大武田ホール)及び7月19日(大阪:大阪大学「中之島センター」)にて開催するJFCC/2013年研究成果発表会で発表いたします。
 なお、本研究成果は、NEDO「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」(通称RISINGプロジェクト)の委託研究として得られたものです。

  リチウムイオン電池(LIB: Lithium Ion Battery)は、他の電池と比べて高いエネルギー密度を有しているため、小型かつ高容量にできる利点を持っています。そのため、携帯用電子機器に欠かせない電池として使われています。また、最近では、風力や太陽光発電によって得た電力の蓄電やハイブリッド自動車、電気自動車への動力源としても使用されつつあり、環境問題の解決に一役を担う電池として期待されています。
 現在一般的に普及しているLIBは、正極と負極の間に可燃性の有機電解液が満たされていますが、電解液の代わりに不燃性の固体電解質を用いた全固体LIBは、安全性や信頼性の問題を克服できる「究極の電池」と言われており、世界中で基礎研究が行われています。
 実用化へのカギは、固体電極と固体電解質の界面をLiイオンがスムーズに移動できるようにすることです。つまり、界面におけるLiイオンの移動抵抗を低減することに尽きます。それを実現できる電極が「その場形成電極」(2005年 京大小久見善八、入山恭寿ら)です。
 本研究では、最新の電子顕微鏡技術を用いて、「その場形成電極」の構造やナノメートル領域のLi分布、低抵抗のメカニズムを解明することに成功し、この知見により次世代全固体LIBの実用化に大きく寄与するものと考えています。

【詳細】
 「その場形成電極」(ここでは、負極の場合を説明)は、たくさんのLiイオンを挿入することにより固体電解質自体を分解し形成される電極のことを言います。図1(a)は、本研究で用いたサンプルの模式図です。リチウムイオン伝導するセラミックスを固体電解質として用い、その上に正極材料であるリチウムコバルタイト(LiCoO2)と金(Au)集電膜を成膜しました。対極には、白金(Pt)集電膜を蒸着しました。このサンプルに図1(b)のように電圧を印加すると、LiCoO2からLiイオンが脱離し、Pt膜の手前にある固体電解質にたくさんのイオンが滞留します。ある程度のイオンが溜まりますと、固体電解質が分解し、その結果、分解したところが負極材料に変化します(図のオレンジ部分)。これが「その場形成負極」です。その場形成負極/固体電解質界面におけるLiイオンの移動抵抗は非常に低く、LiCoO2/固体電解質界面での抵抗と比べて40分の1以下になることがわかっています。そこで、本研究では、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、電子線回折、位置分解電子エネルギー損失分光法を用いて、そのメカニズムを解明しました。
 図1(c)は、その場形成負極/固体電解質界面近傍のTEM写真です。固体電解質内部では、白黒の結晶粒のコントラストが観察されますが、その場形成負極内では、一様なグレーのコントラストが観察され、その厚さは約400 nmであることがわかりました。この部分の電子線回折から、その場形成負極は、アモルファスの構造を持っていることが明らかになりました。つまり、たくさんのLiイオンが結晶粒に挿入されることにより結晶が壊れ、ガラス状のアモルファスに変化したことがわかりました(アモルファスに変わったために、一様なグレーのコントラストとして見えます)。これにより、固体電解質との密着性が良くなり、界面抵抗が低減したと考えられます。図1(d)は、位置分解電子エネルギー損失分光法を用いて、同じ場所を計測したLiの濃度分布です。色が明るいほど、Li濃度が高いことを示しています。図1(e)は、図1(d)の横方向のラインプロファイルです。アモルファスに変化したところは、明らかにLi濃度が高くなり、その濃度は界面で緩やかに変化しながら接合していることがわかります。つまり、負極材料と固体電解質がナノメートルオーダーで徐々に混ざり合って密着性の良い界面を作っていることがわかりました。以上のことが、界面抵抗の大幅な低減につながったと考えられます。今後、このコンセプトを持った電極が、固体電池の実用化に寄与することを期待しています。


図1
(a) 作製したサンプルの模式図(負極をその場形成する前) (b) その場形成負極を作製した後の模式図

(c) 界面近傍のTEM像 (d) Li濃度分布(明るい色ほど高濃度) (e) Li濃度分布(d)の強度プロファイル


<本研究に関する問い合わせ先>

(財)ファインセラミックスセンター ナノ構造研究所 電子線ホログラフィーグループ 山本 和生
TEL : 052-871-3500、FAX : 052-871-3599、E-mail : k-yamamoto@
(※メール発信は@の後ろに jfcc.or.jp を付けて送付ください)

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