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人工光合成による水素製造で世界トップレベルのエネルギー変換効率2%を達成
			  −クリーンな原料を用いた基幹化学品製造基盤技術の確立へ−


 NEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)※1は、「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」※2において、太陽エネルギーを化学エネルギーに変換する光触媒材料の高性能化を図り、太陽光を用いた水分解による水素製造で世界トップレベルとなる太陽エネルギー変換効率2%を達成しました。
今後、光触媒材料および周辺技術のさらなる開発を進め、2021年度末までに目標とする太陽エネルギー変換効率10%の達成を目指します。また、同時に開発している分離膜技術および合成触媒技術との融合を図り、太陽エネルギーで製造した水素と二酸化炭素を原料とする新規な基幹化学品製造基盤技術の確立を目指します。

【用語解説】
※1 人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)
参画機関:国際石油開発帝石(株)、住友化学(株)、TOTO(株)、(一財)ファインセラミックスセンター
富士フイルム(株)、三井化学(株)、三菱化学(株)(五十音順)
※2 二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)
2012〜2013年度は経済産業省、2014年度からはNEDOのプロジェクトとして実施中。

パラレルセルを用いた光触媒の太陽エネルギー変換効率評価方法 開発した光触媒の例



1.概要
 我が国の化学産業は、基幹化学品から機能性化学品まで様々な高い国際競争力を誇る製品を多数生み出す一方、製造原料として化石資源を大量に消費し、二酸化炭素排出量も日本の製造業中約16%を占めています。地球温暖化問題を解決し、持続可能な低炭素社会を実現していくためには、太陽エネルギー等の再生可能エネルギーを活用し、化石資源に頼らない革新的な化学品の製造技術が必要となります。
 そこでNEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)は、「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」において、太陽エネルギーを用いて製造した水素と二酸化炭素を原料とした基幹化学品(C2〜C4オレフィン※3)の製造プロセスの基盤技術開発に取り組んでいます。
 このプロジェクトには、図1に示す3つの研究開発テーマがあります。
? 光触媒開発: 太陽エネルギーを用いて水を分解し、水素と酸素を製造する光触媒材料およびモジュールの開発
? 分離膜開発: 同時に発生する水素と酸素を分ける分離膜およびモジュールの開発
? 合成触媒開発: 水から製造した水素と二酸化炭素を原料として、C2〜C4オレフィン等の基幹化学品を合成する触媒およびプロセス技術の開発
図1 本事業の概要
 今回、光触媒開発において、可視光領域の光を吸収する水素発生用光触媒と酸素発生用光触媒材料を高性能化し、さらに組合せの最適化を図った結果、太陽エネルギーを用いた水の分解による水素製造で世界トップレベルとなる太陽エネルギー変換効率2%を達成しました。
 今後、光触媒材料および周辺技術のさらなる開発を進め、2021年度末までに太陽エネルギー変換効率10%の達成を目指します。また、同時に開発している分離膜技術および合成触媒技術との融合を図り、太陽エネルギーで製造した水素と二酸化炭素を原料とする新規な基幹化学品製造基盤技術の確立を目指します。

2.今回の成果
 光触媒は、太陽エネルギーを化学エネルギーに変換する固体物質です。従来の光触媒材料ではその吸収波長が主として紫外光領域に限られるものが多く、太陽エネルギー変換効率の向上のためには、可視光から赤外光領域にかけての光を利用できるように、光触媒の吸収波長を長波長化することが課題の一つでした。このため、従来よりも長波長の光を吸収する光触媒材料を探索すると同時に、光触媒による水分解において水素の発生と酸素の発生を担う光触媒材料を分けることで、材料選択の幅を広げてきました。
今回、可視光領域の光を吸収する水素および酸素発生用光触媒の中で組み合わせの最適化を図り、シート状に成形した光触媒を用いて、性能評価のためにパラレルセル(図2(A))を作成し、太陽エネルギー変換効率を測定しました。その結果、太陽光を用いた水分解での水素製造において、太陽エネルギー変換効率の最高値2.2%、1時間平均値で1.95%を達成しました(図3)。この値は現段階で世界トップレベルとなります。また、タンデムセル(図2(B))でも太陽エネルギー変換効率約2%を達成しています。
さらに、将来の実用化を想定して、水素および酸素発生用光触媒を同じ基板上に成形した混合型光触媒シートも開発し(図4)、水素と酸素の発生を確認しました。

(A) パラレルセル (B) タンデムセル
図2 光触媒を用いた水分解の概念図 図3 エネルギー変換効率の時間変化
図4 混合型光触媒シートの概念図

3.今後の予定
 今後、光触媒材料のさらなる高性能化を目指して、今回開発した材料を含めた様々な光触媒材料系を対象に、材料の組成の最適化、低欠陥な結晶が得られる合成方法の開発および化学反応を活性化する材料表面の最適化等を進めることにより、段階的に太陽エネルギー変換効率の向上を図っていきます。同時に、光触媒の性能を最大限引き出すことを目指して、混合型光触媒シートを含む様々な光触媒の成形方法を開発し、2021年度末までに太陽エネルギー変換効率10%の達成を目指します。さらに、光触媒を組み込んだ水素/酸素製造用の光触媒モジュールの開発を進めて行きます。


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