これに対し、本研究で新規開発した装置は、簡易・超小型・安価で同等の性能を発揮するものです。わずか2枚の薄板電極を平行に配置し、10V程度の電圧を加えるだけの極めてシンプルな構造で、電極の一つにはドーナツ状の孔、他方には円形の孔を設けており、その間に発生する電場を制御してボケ(球面収差)を補正します。
本装置は、数mm〜数cm程度というコンパクトなものです。このため、電子顕微鏡に組み込む際に、従来装置のように電子顕微鏡本体の改造を必要とせず、簡単に導入することが出来ます。また、併用するのは直流電源1つで複雑な制御などは必要ありません。このため、従来装置と同等程度の分解能が得られるにも関わらず、低価格(数100万円以下)で搭載可能です。この技術の普及により、高分解能型の電子顕微鏡が飛躍的に広まることが期待できます。 |