ディーゼルエンジンの排気システムには、粒状物質(PM 注1)を捕集するディーゼルパーティキュレートフィルター(DPF 注2)が装備されています。フィルターに捕集されたPMは定期的、もしくは連続的に燃やされて二酸化炭素ガスなどに分解されますが、それを効率良く行うために開発されたのが『触媒担持型のフィルター(CDPF 注3)』です。PM分解効率は実質上の燃費に直結するため、省エネ化の観点からは更なる触媒の高性能化が求められています。そのためには反応メカニズムの理解が重要ですが、現状では十分な知見が得られているとは言えません。特に、触媒粒子は光学顕微鏡では観察できないほど小さいため、電子顕微鏡による観察が有効と考えられますが、通常の電子顕微鏡では試料が真空におかれるため、ガスが試料の周りに存在する環境で触媒反応を直接観察することは不可能でした。 |