【用語説明】
※1) |
電子線ホログラフィー |
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ナノメートル領域の電位分布や磁束分布を定量的に観察できる透過型電子顕微鏡技術のひとつ。電子の波の性質を利用した干渉計測法であり、試料内部の電場、磁場により変調された電子波(物体波)と真空部分をそのまま通過した電子波(参照波)を干渉させ、その干渉パターンから画像解析を経て、電位分布または磁束分布を画像化することができる。 |
※2) |
位置分解電子エネルギー損失分光法 |
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電子顕微鏡内で加速された入射電子が試料を透過する際、元素の種類や試料中の原子の配列によって電子のエネルギー損失が異なる。そのエネルギー損失の分布(電子エネルギー損失スペクトル)を用いて、元素の種類や試料の電子状態を計測する方法を「電子エネルギー損失分光法」と呼ぶ。試料の異なる位置から電子エネルギー損失スペクトルを取得し、元素の分布や電子状態の空間的な分布を得る方法を「位置分解電子エネルギー損失分光法」と呼ぶ。リチウムのような軽元素を検出するのに有効な観察技術である。 |
※3) |
Liイオン伝導性固体電解質 |
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Liイオンのみが移動できる固体の材料(本研究では、セラミックスを使用)。全固体Liイオン電池の正極と負極の間に挿入することで蓄電池として動作し、全固体電池に必要不可欠な材料である。 |
※4) |
空間電荷層 |
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異種材料の界面や粒界などで局所的に正電荷または負電荷が溜まった領域のことを言う。 |
※5) |
全固体Liイオン電池 |
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Liイオン電池は、正極と負極の間をリチウム(Li)が移動することで充放電を行う。電解質に固体材料をもちいたLiイオン電池は「全固体Liイオン電池」と呼ばれる。 |
※6) |
電解質 |
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溶媒中で陽イオンと陰イオンに電離する物質。Liイオン電池ではこれまで溶媒として液状またはゲル状の電解質がもちいられてきたが、安定性、信頼性、エネルギー密度、出力、動作温度の面で課題があり、固体化がもとめられていた。 |
※7) |
Nano-Shield |
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試料からの漏れ電場を遮蔽するために試料全体を覆う厚さ数10ナノメートルの遮蔽膜。著者らのグループにより新規開発した。詳細は、Y. Nomura, K. Yamamoto, T. Hirayama, K. Saitoh, Microscopy 67 (2018) 178-186. に記載。 |
※8) |
固体イオニクス |
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固体材料中のイオンの振る舞いや、用途に関する研究分野である。全固体電池や固体酸化物型燃料電池などの研究に重要な学問である。 |
※9) |
固体酸化物型燃料電池 |
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固体電解質をもちいた燃料電池。通常すべてセラミックスで構成される。高温で可動し、発電効率が高いのが特徴である。 |
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