2022年度

JFCC研究成果集

新時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

1研究成果 / 革新環境材料

R-5

2022

SDGs9

過熱水蒸気処理によるアルミナ​前駆体の分解および相転移促進

SDGs9

アピールポイント

α-Al2O3の低温合成
【技術シーズ:過熱水蒸気処理】

課題

・Al2O3繊維強化Al2O3複合材料(酸化物系CMC)は、繊維劣化しない1100-1200 ℃以下のプロセス温度で高強度のマトリックスを形成​

・マトリックス原料のAl2O3前駆体から高温安定相のα-Al2O3単相を形成する際に、高温での相転移に伴う大きな体積収縮によるマトリックス破壊を回避​

解決手段

・過熱水蒸気により相転移抑制(γ-Al2O3相の安定化)に寄与する成分を除去​

・高温過熱水蒸気は乾燥空気中に比べて酸化物の蒸発・凝縮や表面拡散を促進させるため、Al2O3粒子間のネック成長による高強度マトリックス形成を期待​

成果・優位性

・Al2O3前駆体([Al2(OH)nCl6-n]m)中のAl原子の配位数は、4と6

・過熱水蒸気-O2中処理によりAl2O3前駆体中のClをHCl(m/z=36)として除去する反応が促進され、前駆体中のClの除去温度が空気中に比べて200 ℃低下​
→ α-Al2O3単相に相転移する温度が空気中に比べて低下

期待される市場・応用

・酸化物系CMCの高強度化による適用範囲の拡大

・前駆体を出発原料とするα-Al2O3製品の低温合成

謝 辞:本研究は、JSPS科研費JP19H02450の助成を受けて実施されたものである。