2022年度

JFCC研究成果集

新時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

4研究成果 / 次世代エネルギーデバイス

R-23

2022

SDGs7

リチウムイオン電池用正極膜内部の​充放電による構造変化

SDGs7

アピールポイント

配向膜を用いた充放電劣化機構の原子レベル解明​
【技術シーズ:膜作製/ナノ構造解析】

課題

・​リチウム二次電池の充放電による構造劣化を明らかにすることは、二次電池​材料の構造設計に必要​

・Liイオン拡散の抵抗因子の特定化と原子レベルでの構造解析​

解決手段

・化学溶液法により、正極配向膜を作製し、充放電前後の膜断面の走査透過電子​顕微鏡法による原子分解能構造解析と界面抵抗解析を実施​

成果・新規性

・化学溶液法により作製したLiMn2O4配向モデル正極薄膜の充放電前後の表面、および内部の微細構造変化と界面抵抗因子について明らかにした。

・充電後、正極膜内に形成した(111)面に沿った積層欠陥は、スピネル構造より(111)面間隔が収縮するため、膜内でのリチウムイオンの拡散を抑制することを解明​

充放電サイクルにより5回充電後のLiMn2O4膜内部の
(左)積層欠陥(白いコントラスト)
(右)積層欠陥を拡大したHAADF-STEM像
積層欠陥の原子モデル
積層欠陥近傍の(111)面間隔の変位

期待される市場・応用

・リチウム二次電池の長寿命化のための材料設計

発表文献

Y. H. Ikuhara et al., ACS Appl. Mater. Interfaces 14 (2022), 6507–6517.​​

謝 辞:本研究の一部は、JSPS科研費(21K04635)にて実施されたものである。