プレスリリース

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2014年6月24日


ネオジム磁石の高温における磁区・磁壁構造観察 〜耐熱性磁石の開発に波及する画期的成果〜


 本研究成果は、7月4日(名古屋;愛知県産業労働センター(ウインクあいち))、7月11日(東京;東大武田ホール)及び7月25日(大阪;大阪大学「中之島センター」)にて開催するJFCC/2014年度研究成果発表会で発表いたします。
なお、本研究は未来開拓研究プロジェクト(次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発)の助成を受けたものです。


 本研究成果は、7月4日(名古屋;愛知県産業労働センター(ウインクあいち))、7月11日(東京;東大武田ホール)及び7月25日(大阪;大阪大学「中之島センター」)にて開催するJFCC/2014年度研究成果発表会で発表いたします。
なお、本研究は未来開拓研究プロジェクト(次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発)の助成を受けたものです。

 JFCCでは、未来開拓研究プロジェクト(次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発)の一環で、産総研中部センターと高性能磁石であるネオジム磁石の高温性能を改善する目的で研究を行っています。ネオジム磁石は、高い保磁力を示すことが知られており、ハイブリッド自動車や電気自動車のモーターに使用されています。しかしながら、ネオジム磁石は高温になると磁石内部で磁化された方向とは反対方向の逆磁区が発生し、保磁力が低下するという問題点があります(図1)。そのためにネオジム磁石の高温性能を改善するために、ジスプロシウムを添加していますが、資源問題を解決するために、ジスプロシウムを含まない、耐熱性磁石の開発が望まれています。

 現在、ネオジム磁石の微細組織を構成する結晶粒を微細化し、ジスプロシウム無添加でも同等の磁気特性を発揮する研究開発が活発に行われています。微細化した磁石内部の磁区構造の変化と微細構造を関係づけ、材料設計指針につなげることは非常に重要です。そのため、透過型電子顕微鏡で微結晶磁石中の磁区構造を観察すると共に、高温における磁区構造変化に関する知見を得ることが重要になります。ジスプロシウム無添加で作製されたネオジム磁石を用いてJFCCでは、磁気特性に影響を及ぼす磁区構造を透過型電子顕微鏡によって、動的に観察を行っています。

 薄片化した微結晶ネオジム磁石を電磁石で磁化させ、透過型電子顕微鏡を用いて、種々の温度での微結晶磁石内部の逆磁区発生を調べました。その結果、100℃までは逆磁区の発生は観察されず、保磁力の低下はほとんど起こっていないと考えられます。更に温度を上げると225℃で試料内部に逆磁区発生を確認でき、この逆磁区が保磁力低下の原因をとらえた観察結果と考えられます。

 再度磁化した同じ試料を用いて、微少な逆磁場を印加しながら、加熱することで、200℃でサンプル内部に逆磁区発生が確認でき、無磁場よりも低い温度で逆磁区が発生することがわかりました。モーター内部は、複雑な磁場環境になっているため、微少な磁場で、逆磁区発生が低温化することは、今後の研究において非常に重要な知見です。また、複数回同様の実験を行っても、ほぼ同様の場所から逆磁区発生が観察でき、今後の磁区構造と微細組織との関係を調べる上で重要な知見が得られました。

 この共同研究の中で、高温時および磁場印加時の磁区構造の変化を動的に観察ができ、今後、微細組織と磁区構造の関係を調べ、今後の材料設計指針につなげ、耐熱性磁石開発につなげて行く予定です。




図1 B-H曲線とネオジム磁石の温度による保磁力低下の模式図

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