プレスリリース

Press Releases

用語説明

※1 計算材料科学

 計算科学を材料科学と融合させた材料科学の1分野のことです。計算科学を用いることで、これまで未踏であった材料科学に関する様々な知見(特に原子・電子レベルでの材料の機能・性質)が明らかにされつつあります。本研究が支援を受けた「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」においてもそれが精力的に行われております。

※2 結晶粒界

 ほとんどの材料はたった1つの結晶のみで構成されているのではなく、数ナノメートルから数十マイクロメートル程度の結晶粒から構成された多結晶体です。これらの結晶粒のあいだには、粒界という結晶内部とは異なる原子配列を持つ領域が存在しています。粒界の原子配列は、結晶粒の向きによって無数のパターンを持つことが知られています。粒界の幅は数ナノメートル程度と限られていますが、その特異な原子配列により結晶内部とは異なる様々な機能が発現し、材料全体の特性を決めることも珍しくありません。

※3 分子動力学法

 原子と原子のあいだに生じる力に従って運動方程式を解くことで、フェムト秒(10-15秒=1000 兆分の 1 秒)単位での原子の動きをシミュレーションする方法です。セラミックス等の固体では原子の振動で熱が伝わるため、この方法により粒界の熱伝導度を算出することが出来ます。

※4 構造記述子

 物質は構成元素の種類や比率によって、様々な結晶構造(規則的な原子配列)を持ちます。構造記述子とは、結晶構造の何らかの特徴を数値化したものです。本研究では特に、結晶や粒界を構成する1つ1つの原子の局所的な配位環境(周りの原子の配列)を数値として表しています。

※5 クラスタリング

 クラスタリングは、多数のデータの集合をクラスタと呼ばれる似たもの同士が集まった部分的な集合に分類する機械学習手法です。今回の場合、様々な粒界の中に存在する原子配列を複数のクラスタに分類することで、粒界の構造をクラスタの比率で記述することを可能にしています。

※6 粒界近傍の局所構造

 図1左下に示すような、粒界近傍で原子間の結合に乱れや欠損が生じている局所的な部分のことを指します。今回の研究では、従来までの理解とは異なり、原子間の結合がわずかに乱れるだけで熱伝導度が著しく低下することが明らかになりました。近年ではこのように、粒界などの格子欠陥(※9)やその近傍における局所的な構造変化を材料の機能発現の起源として定義する試みが行われています。本論文が支援を受けた「機能コアの材料科学」もその1つです。

※7 熱電変換材料

 物質に温度差が生じると、それに比例して物質中に電位差が生じます(ゼーベック効果)。この現象を利用して、排熱などの未利用熱エネルギー等を私たちが利用可能な電気エネルギーに変換する材料を熱電変換材料と言います。逆に、電位差により物質に温度差を生じさせて冷却を行う場合もあります(ペルチェ効果)。

※8 遮熱コーティング材料

 航空機などに搭載されているタービンエンジンなどを、周囲の高温環境から保護するために塗布される材料のことです。高い遮熱性や高温耐久性などが要求されます。

※9 格子欠陥

 一般に固体の材料は、規則的に配列した原子によって構成されています。しかし、これらの規則的な配列の中には必ずパターンから外れたものが存在しており、これらのことを格子欠陥と呼びます。

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研究担当者
ナノ構造研究所 計算材料グループ 藤井進(ふじいすすむ)