2021年度

JFCC研究成果集

脱炭素イノベーションをめざした革新材料開発/解析技術

1研究成果 / 革新環境材料

R-11

2021

SDGs3

高感度なウイルス検出を目指した超常磁性微粒子の開発

SDGs3

アピールポイント

ウイルスの高感度検出を多孔質な超常磁性微粒子で実現
【技術シーズ:噴霧熱分解粉体合成法】

課題

ウイルス検査の主流である化学発光免疫測定法では、ミクロンサイズの中実ポリマー粒子中にナノメートルサイズの酸化鉄粒子が分散し、後工程の表面処理によりカルボキシ基(COOH基)が導入された検査薬材料を使用

・ポリマー表面の比表面積が小さいため、抗体の結合サイトが少なく感度が低い。

・酸化鉄含有量が低いために飽和磁化が小さく、水溶液中での磁気捕集能が低い。

解決手段

・噴霧熱分解法により、ミクロンサイズの多孔質酸化鉄微粒子中にナノメートルサイズの酸化鉄が多量に分散した構造体を合成

・噴霧熱分解法による微粒子合成プロセス中に、COOH基を酸化鉄に付与

成果・優位性

・検査薬として使用されているミクロンサイズでありながら、超常磁性を示す、世界で初めてのCOOH基修飾酸化鉄微粒子

・現状の平滑な表面を有するポリマー粒子よりも、格段に比表面積が大

表面および断面SEM(粒径1.2±0.4 μm)
FT-IR分析結果
(COOH基修飾酸化鉄の生成を確認)
磁気特性(M-H曲線)

期待される市場・応用

・ウイルス検査薬・腫瘍マーカー検査薬・診断(核磁気共鳴撮像法、MRI)

・治療(温熱療法、ドラッグデリバリーシステム)