1研究成果／脱炭素

R-5

2023

Ca-Mg-Fe-Al-Si-O溶融物による多結晶Yb₃Al₅O₁₂の微構造変化

アピールポイント

環境遮熱膜候補材の腐食機構の解析
【技術シーズ：STEM-EDS、Pythonによるデータ解析】

課題

・航空機エンジン用耐熱部材の環境遮蔽膜はエンジン内に取り込まれた火山灰や砂等（Ca-Mg-Fe-Al-Si-O溶融物:CMAS）に対して耐食性に優れることが必要

・候補材の一つであるYbガーネット（Yb₃Al₅O₁₂:YbAG）がCMAS融液と接触した際にどのような微構造変化が進行しているのかは不明

解決手段

・CMAS腐食試験後のYbAG試験片に対して、集束イオンビーム法（FIB）を用いて走査透過電子顕微鏡（STEM）用試料を作製

・STEMとEDSを併用した腐食領域の微構造解析を実施

成果・新規性

・CMAS-YbAG間の反応により、YbAG結晶の未反応部の周囲をCMAS成分が固溶したCore-Shell構造を形成し、Shell間にはCMASプアなYbAG層が存在

・Shell中のCMAS成分は、電気的中性条件（(Ca+Mg)/Si ～1.0）をほぼ満足し、かつ、高いCore-Shell間の格子整合性を有する組みわせで固溶

・CMAS腐食試験条件：1400 °C、100 h

・EDSデータ処理・解析：Pathfinder、Python

期待される市場・応用

・様々な溶融物接触部材の損傷状態解析

・結晶内固溶元素のナノ～ミクロレベルの分布把握

発表文献

S. Kitaoka, M. Tanaka, T. Ito, T. Kato et al., J. Am. Ceram. Soc., 106, 4863-4876 (2023)

謝　辞：本研究は、NEDO助成事業「次世代複合材創製・成形技術開発プロジェクト（P20010）」の一環として実施されたものである。