2023年度

JFCC研究成果集

GX時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

6微構造解析

T-41

2023

SDGs

ナノシールドによる​Naイオンの移動抑制技術​

SDGs

技術のポイント

ナノシールドを粉末試料用に改良し、イオン移動抑制層に応用することで組成ずれを防いだ電子顕微鏡観察が可能

保有技術

ALD(Atomic Layer Deposition)​​

・主に半導体向けで使われる特殊な成膜方法​

・前駆体ガス(有機金属化合物、ハロゲン化物等)と反応ガス(水蒸気、アンモニア等)を交互に導入し、試料表面の化学反応により1原子層ずつ成膜する手法
(例:アルミナの場合 0.1 nm/min程度の成膜速度)​

・表面形状に沿った均一な膜厚のコートが可能​

・膜の種類は使用可能な前駆体ガスの種類で制限される。
(例:アルミナ、チタニア、ハフニア、白金等)​​

ナノシールド

ALDによる絶縁コートと導電コートを
組み合わせたTEM試料の前処理手法

Yuki Nomura et al.,
Microscopy, 67, 178 (2018)​

活用/成果例

ナノシールドのNaイオン​
移動抑制層への応用​

<測定試料>​​

(粉末用の改良手順)​
粉末:Na3Zr2(SiO4)2(PO4)(NZSP)​
   +結晶性カーボンの混合粉末​
支持体:非晶質カーボン膜​​

<ナノシールド処理>​

(粉末用の改良手順)​
1層目:非晶質アルミナ(ALD:10 nm)​
2層目:非晶質アルミナ(ALD:10 nm)​
3層目:非晶質カーボン(蒸着:10 nm)​

ナノシールド無​​

NaがNZSP粉末からカーボン支持膜に移動​

ナノシールド有​​

ナノシールドによりNaはNZSP粉末内に保持​​

謝 辞:Na3Zr2(SiO4)2(PO4)(NZSP) サンプルは電力中央研究所の沓澤大博士、小林剛博士から提供いただいた。また、本成果は、NEDO「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」(JPNP14004)として実施されたものである。​

適用分野

・電子顕微鏡を用いた電池材料、イオン伝導体の分析・評価​

・X線や放射光を用いた電池材料、イオン伝導体の分析・評価​​