2025年度

JFCC研究成果集

独創的研究で社会変革に対応 ~マテリアル新時代へ~

4研究成果 / 計算科学

R-23

2025

SDGs7

イットリア安定化ジルコニアの低温劣化機構の理論解析

SDGs7

アピールポイント

YSZの低温劣化の原因を初めて究明
【技術シーズ:網羅的第一原理計算】

背景・課題

・Y2O3を添加してZrO2の高温相である正方晶相を室温で安定化させたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)は高強度高靭性を示す。

・YSZは加湿雰囲気かつ60~400 ℃の低温域で保持されると、正方晶相(t相)から単斜晶相(m相)へ自発的に相転移してしまう低温劣化が起こるが、そのメカニズムは未解明である。​

・YSZの低温劣化の要因を原子レベル、電子レベルで明らかにする。

解決手段

・第一原理計算による3 mol%Y2O3添加ZrO2t相とm相のエネルギー比較​

・ZrO2へのY3+の置換固溶( YZr )に対する電荷補償として酸化物イオン空孔(𝑣O⋅⋅)と溶解プロトン(OHO)の2種類を考慮​

・点欠陥の配置多様性を考慮し、96原子の固溶体モデル群(全2265種類)に対する網羅的第一原理計算の実施​

成果・新規性

t相、m相のY2O3添加ZrO2における溶解プロトンの安定な配置を初めて決定

②YSZにおけるt相安定化効果を初めて定量化
YSZの低温劣化は水蒸気を介した酸化物イオン空孔の水和反応( 𝑣O⋅⋅+ OO×+H2O→ 2OHO)によるt相不安定化が原因

ZrO2におけるZrサイト置換Y3+と溶解プロトンの
最安定配置(左)t相、(右)m
無添加、YSZ、水和YSZにおけるt相とm相の
期待される市場・応用 エネルギー差

期待される市場・応用

・生体用ジルコニアセラミックス、遮熱コーティング

謝 辞:本研究は、東京大学「次世代ジルコニア創出社会連携講座」との共同研究により実施されたものである。

担当者:桑原彰秀、小川貴史

共同研究者:(東京大学)松井光二、(東京大学/JFCC)幾原雄一、(東ソー(株))永山仁士