3研究成果 / 脱炭素
R-16
2026

ダブル電子ビームPVDによるYb2TiO5厚膜形成技術の開発

アピールポイント
成膜面のレーザー加熱と基板裏面冷却を併用した厚膜形成
【技術シーズ:ダブル電子ビーム(EB)-PVD】
背景・課題
・次世代遮熱コーティング候補材である超低熱伝導のYb2TiO5は、構成酸化物の蒸気圧差が大きく、単一ターゲットへの電子ビーム照射では膜組成の制御が困難。
・耐熱サイクル性に有効な縦割れ構造(セグメント)をシャドウイング効果で形成するには、成膜時の基板回転が必要である。
・成膜面のレーザー加熱による結晶化ではNi基超合金基板全体も加熱されるため、成膜後の冷却過程で膜中に圧縮応力が生じてバックリング破壊を起こし、遮熱性の向上に有効な厚膜形成が難しい。(熱膨張係数:Yb2TiO5<Ni基超合金)
解決手段
・ターゲットをYb2O3とTiO2に分けて、各ターゲットを2本の電子ビームにより異なる出力で照射することで、蒸気圧を調整し膜組成を任意制御
・回転する基板裏面を直接水冷することで、成膜面をレーザー加熱しても基板全体が加熱されないため、成膜後の膜のバックリング破壊が抑制
成果・新規性
①成膜面のレーザー加熱、基板回転と基板水冷を併用したダブルEB-PVDシステムを開発
②次世代遮熱コーティング候補材のYb2TiO5厚膜形成に成功(従来の10倍以上)

ターゲット酸化物の平衡蒸気圧の温度依存性


セグメント構造を有する
Yb2TiO5/YSZ遮熱システム
Yb2TiO5/YSZ遮熱システム
期待される市場・応用
・航空機エンジン、宇宙機器、耐熱部材
発表文献
K. Asai et al., J. Solid State Chem. 287(2020), 121328.
謝 辞:本研究は、防衛装備庁安全保障技術研究推進制度JPJ004596「光学特性を制御した革新的遮熱・環境遮蔽システムの基盤構築」により実施されたものである。
担当者:山口哲央、橋本壮真、田中誠、川島直樹、横江大作、北岡諭
