2011年度

JFCC研究成果集

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2011-8

BaTiO3中のMn固溶状態とそのMLCC信頼性への影響


技術のポイント

MLCCの信頼性に大きな影響を有するBaTiO3中のMnの電子状態を第一原理計算にて解析

基礎研究


背景
積層セラミックスコンデンサ(MLCC)は種々の添加物によりその特性を制御しているが、その働きの詳細はよくわかっていないものが多い。

目的
電子相関効果を考慮した第一原理計算を用いて、BaTiO3中のMnの電子状態、固溶エネルギーを第一原理計算にて解析。

成果
(1) LSDA+U法等により電子相関効果を考慮することが、電子状態を正しく再現するために必要不可欠。
(2) MnはMLCC材料中において、系の絶縁性を保ったまま、Mn2+またはMn4+として存在することができ、電子伝導キャリアを相殺する働きを有している。


・手法:平面波基底Projector Augmented Wave法(VASPコード)

図1. 計算に用いたスーパーセル 図2. BaTiO3中のMnの固溶エネルギー



今後の展開
MLCC材料中の他の添加物元素や、酸素空孔などの構造欠陥との相互作用とその信頼性への影響の解明
MLCCの高性能、高信頼性化に寄与

参考文献 H. Moriwake et al., Japanese Journal of Applied Physics 49 (2010) 09MC01.
謝辞 本研究は、文部科学省科学研究費補助金(基盤研究C)No.21560708「ラマン散乱と第一原理計算の連携による巨大誘電応答メカニズムの解明」の一環として実施したものである。



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