2013年度

JFCC研究成果集

未来開拓研究による環境・エネルギーへの挑戦

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2013-13

LiMn2O4単粒子特性のFIB-SEM三次元解析評価


技術のポイント

BET法等で測定されるバルク粉体の平均値ではなく、原料粉末粒子1個の比表面積などを詳細に解析

基礎研究


背景
LiMn2O4はリチウムイオン電池の正極材料として用いられる。実際の 電極は粉末と導電助剤などを混ぜ合わせた合剤電極となっているが、原料粉末単体の評価を行うことは電池特性把握において重要である。

目的
FIB-SEM法を用いて三次元解析を行い、粒子1つの諸元(表面積、比表面積、体積など)を明らかにする。

成果
(1) 今回測定した粒子は体積比10%程度の空隙を有しており、空隙のほとんどは開気孔(電解液が浸透できる隙間)である。
(2) 粒子の表面積は1,300 μm2、比表面積は45.7 m2/gであった。これらはこの粒子のもつ真の電極反応面積である。
原料粉末粒子1つの詳細な解析が可能


・評価手法: デュアルビームFIB-SEM法(技術の詳細は成果集“T-5”参照)
・観察条件: 《試料作製》粉末試料をエポキシ樹脂と混合し、ガラス板上に塗布。
《使用装置》FIB-SEM:HITACHI NB5000、三次元構築:Avizo 6.2
 【FIB】加速電圧: 40 kV、スライス加工幅: 50 nm
 【SEM】加速電圧: 5 kV、SEM観察倍率: 5,000倍、SEM像取得枚数: 296枚
 【三次元構築領域】W:12.3 μm × H:12.6 μm × D:14.8 μm

図1. 三次元解析に用いた断面SEM像(一例)
図2. LiMn2O4単粒子の三次元構築結果



今後の展開
充放電サイクル前後の単粒子解析
合剤電極試料の三次元解析
電極特性把握
劣化機構の解明

謝辞 本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING)」の一部として実施したものである。



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