2013年度

JFCC研究成果集

未来開拓研究による環境・エネルギーへの挑戦

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2013-10

ゼロ温度係数ウイルマイト基板のミリ波誘電特性評価


技術のポイント

ミリ波ネットワークアナライザを用いて、電子回路基板等のミリ波帯における基板の誘電特性を評価



背景
自動車等に搭載される電子機器は、-30℃以下の低温から80℃以上の高温に至る環境下で使用されるため、設計には基板材料の比誘電率及びその温度特性の精密な評価が重要である。

目的
樹脂基板を損失の小さいセラミックス基板に置き換えることで高周波回路基板の低熱膨張率化・高熱伝導化を図る。

成果
試料名 曲げ強度 熱膨張係数 熱伝導率 ε' tanδ Qf TCF
(MPa) (ppm/K) (W/m・K) (GHz) (ppm/K)
ウイルマイト基板 170 1.8 3.3 9.1 0.00016 101,600 ±0.5
樹脂基板の例
(ARLON社製AD1000)
75 20 0.8 10.1 0.0022 4,300 380
1. 開発ウイルマイト(Zn2SiO4+xwt%TiO2)基板は熱特性・誘電特性等に優れ、樹脂基板の代替えとして使用できることが示唆された。
2. 温度特性(TCF*)はTiO2添加量を制御することでゼロとなった。

図1. TiO2添加量によるTCFの変化
共振周波数の温度変化はミリ波レーダや無線LANの許容誤差より遙かに小さい。
⇒ 厳しい安定度が要求されるミリ波画像伝送設備に関する規格も十分満たしている
図2. Mウイルマイト基板上に製作されたミリ波共振器
図3. 製作ミリ波共振器の共振周波数の温度変化


今後の展開
TCF測定温度範囲の拡大
LTCC基板への適応
電子デバイスの小型化・高性能化
安全性・快適性・省エネルギーに寄与

謝辞 本研究は「戦略的基盤技術高度化支援事業」の一環として経済産業省の委託を受けて実施したものである。



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