2014年度

JFCC研究成果集

技術革新を支える新材料開発と先端解析技術

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2014-13

電子顕微鏡を用いたイットリウム系長尺超電導線材の微細構造解析


技術のポイント

EuBa2Cu3Oy超電導層内部の超電導電流阻害粒子の分布をFIB-SEMデュアルビーム装置により3次元的に把握

基礎研究


背景
イットリウム系超電導線材では、超電導層の膜厚増加に伴い、臨界電流(Ic)が飽和することが知られているが、BaHfO3(BHO)ナノロッドが分散するEuBa2Cu3Oy (EuBCO)超電導層は、高磁場において、膜厚が増加しても 直線的にIcが増加する。

目的
EuBCO超電導層内部の超電導阻害粒子の同定と、これら電流阻害粒子の分布を3次元的に把握する。

成果
(1) 3.6μm厚のEuBCO超電導層内部に形成された電流阻害粒子は、マトリックスに対して方位が異なるEuBCO結晶、Ba-Cu-O、Cu-O、BHO、Eu2O3粒子と同定
(2) FIB-SEMの3次元解析から超電導電流阻害粒子の体積割合は、2vol%以下であることが判明。
厚膜EuBa2Cu3Oy超電導層のIcが直線的に増加する要因の一つを解明


図1. BHOナノロッド分散EuBCO層の断面TEM像
図2. FIB-SEMによるEuBCO層の3次元構築結果
: 電流を阻害するEuBCO結晶 : Cu-OとBa-Cu-O : BHOとEu2O3



期待される適応分野
? 磁場中で高I cを有する 高性能超電導線材の開発
? 高性能超電導線材を用いた超電導機器開発

参考文献 T. Kato et al., ISS2013 WT-21 invited, D. Yokoe et al., ISS2013 WTP-23.
謝辞 本研究は、経済産業省の「高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクト」の一環として実施したものである。



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