2022年度

JFCC研究成果集

新時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

1研究成果 / 革新環境材料

R-1

2022

SDGs9

Ca-Mg-Fe-Al-Si-O溶融物に対する環境遮蔽膜の腐食機構

SDGs9

アピールポイント

熱力学と速度論に基づく腐食機構の解析
【技術シーズ:計算状態図/高温物質移動解析】

課題

・航空機エンジン用耐熱部材の環境遮蔽膜はエンジン内に取り込まれた火山灰や砂等(Ca-Mg-Fe-Al-Si-O溶融物:CMAS)に対して耐食性に優れることが必要​

・候補材のYbシリケート(Yb2Si2O7:YDS、Yb2SiO5:YMS)の耐CMAS性を熱力学・速度論の両面から定量的に評価・解析した報告はない。

解決手段

・擬三元系計算状態図を基に、Ybシリケート-CMAS間の反応性を予測​

・高温酸素透過試験によりYbシリケート膜中のYbイオンの外方向流束を決定​

・候補部材のCMAS損傷を正確に評価する試験方法(急加熱・急冷)を確立

成果・新規性

YMSの耐CMAS性(1400 ℃)がYDSよりも著しく優れる理由​

熱力学的視点:YMSの方がCMASとの反応に伴い、Apatite等の結晶相を形成し残渣融液量が急激に低下するため、融液の内方向へのさらなる浸透が抑制

速度論的視点:YMSの方がYDSに比べてApatiteの生成に伴う体積増加が大でYbイオンの粒界を介した移動も大であるため、界面にApatite保護膜を形成

期待される市場・応用

・航空機エンジン用耐熱部材のコーティング

・様々な溶融物接触部材の耐食設計

発表文献

M. Wada et al., Acta Mater., 201, 373 (2020).
T. Matsudaira et al., J. Eur. Ceram. Soc., 41, 3150 (2021).​

謝 辞:本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の一環として実施されたものである。