2022年度

JFCC研究成果集

新時代のマテリアル戦略を支える新材料開発と先端解析技術

1研究成果 / 革新環境材料

R-8

2022

SDGs3

ウイルス検出用のカルボキシ基​修飾マグネタイト微粒子の合成

SDGs3

アピールポイント

クエン酸が還元剤と表面修飾機能の役割を実現
【技術シーズ:噴霧熱分解法】

課題

・ウイルス検出用の検査薬には、カルボキシ基で修飾されたマグネタイト粒子が​分散した微粒子が使用されている​​。

・マグネタイトの合成には、酸素分圧が10-40~10-28 atm(300 ℃)の低い酸​素分圧下での熱処理が必要

解決手段

・​硝酸鉄とクエン酸からなる原料溶液を用いて、噴霧熱分解法で酸化鉄微粒子前​駆体を合成

・残留クエン酸による低酸素分圧環境を利用した熱処理によって、マグネタイト​粒子を生成​

成果・優位性

・クエン酸を共存させると熱分解によって生じるカーボンと水素の影響により、窒素ガス(PO2=10-4 atm)を使用した場合でも10-28 atm以下(300 ℃)の低酸素分圧環境が実現し、カルボキシ基修飾マグネタイトが生成

噴霧熱分解法による前駆体の合成
・Fe(NO3)3・9H2O (0.1 M)
・Fe(NO3)3・9H2O (0.1 M) + クエン酸(0.2 M)
前駆体の熱処理
N2 300 ℃ 10 hrs

Fe-O系の各相の安定領域と温度の関係
微粒子(クエン酸有り)

微粒子の粉末X線回折パターンおよび表面SEM写真

微粒子と前駆体(クエン酸有り)の
FT-IRスペクトル
微粒子(クエン酸有り)のM-H曲線
微粒子(クエン酸有り)の
水中での磁気捕集の様子

期待される市場・応用

・診断薬用検査薬 ・診断(核磁気共鳴撮像法、MRI)

・治療(温熱療法、ドラッグデリバリーシステム)

発表文献

M. Hashimoto et al., Adv. Powder Tech. 33 (2022) 103412​​